【感想】延命治療をどう考えるか「患者は知らない 医者の真実 」を読んでみた
こんにちは、ねこさとです!
ぼくは、理学療法士で病院に勤めているのですが、いろいろな患者さんを診る機会があります。
そう「いろいろ」です。
入院している理由は十人十色で、「骨折」、「脳梗塞」、「肺炎」、「心不全」「認知症」「加齢による食思不振(食欲が減退)」などなど。
他にも理由はあるけど、同じ理由で入院している人は少ない。
その中でも回復していく人、なかなか良くならない人もいます。
人間ってよく分からないもので、昨日まで笑顔で普通に話していた人が、ある日突然病状が急変しお亡くなりになる。
というケースもたくさん見てきました。
人の「死」に一番近い、病院にいると考えさせられることはたくさんあります。
自分の親もいつまでも元気だとは限らない
入院患者さんを見てると、どうしても自分の親のことを考えてしまうことがあります。
入院している方は、だいたいが80〜90歳代が多い。
親もこの年代ぐらいになると元気なのかな、とか思ったりします。
ぼくの実家は沖縄の宮古島ってところで、埼玉からは羽田空港に行き飛行機で約3時間とかかります。気軽に行ける距離ではない。
交通費もバカにならないし帰れても1年に1回帰えれたらいい方。
久しぶりに帰ると、親はまだ元気なのですが、やはり昔のような活気は感じられない。
こんなに「シワ」あってっけ?と思ったりする。
会話していると「最近、目が悪くなってきた」、「足腰が痛くなってきた」とか聞いたりする。そういうのを聞いていると老いを感じられずにはいられない。
延命治療をどう考えていくか
もし自分の親や親しい方が、何かしらの理由で口から食事が摂れなくなってしまい、「胃ろう」という選択を迫られたらどうしますか?
胃ろうとは、簡単に説明すると「胃に穴を開ける」ことです。
口から食事のとれない方や、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすい方に、直接胃に栄養を入れる栄養投与の方法。
「胃ろう」を作ることが悪いってわけではないです。
中には胃ろうを作り、「栄養を補給」することで元気になり、再び口から食べれる可能性のある方もいます。それも本人の気力などにも関わってくるし、ご飯を食べるための嚥下機能にもよりけりです。
数ある延命治療の何を選ぶかってことも大事になってくる。
「選ばない」っていう選択もある。ってことも頭に入れておくことも大事。
親は延命治療を望んでいるのか?
一番大事になるのが、当人が延命治療を「望む」のかってことが大事になってくると思う。
病院に入院している人は、いろいろな理由で、会話をすることが出来ない人もいれば、重度の認知症になってしまい適切な判断が出来ない人もいる。
必ずしも入院している方全員がそうではないが、多くの人は意思疎通が出来ない人が、延命治療を迫られるている印象。
この本の著者である、野田氏も親が元気なうちに、将来のことを話しておこう。と述べている。
まあ、これは当たり前のことだろうなとは思うけど、当事者になってからアタフタするよりは、意思をハッキリさせた方がいい。
もし、そういう状況になっても意思がハッキリしていることで、治療方針も変わってくる。
1番は残された時間を有意義に使うことが出来ることが、個人的には大きいのかなって感じます。
言葉は悪いが、「水やり栽培」になってしまう。
どこかの先生がセミナーで言ってましたね。
病院に縛られているよりは、家族と一緒にすごしたい人は一緒にいたらいい。
どこかに行きたいなら、行きたいとこに行ったらいい。
そうやって自分の最後の時間を有意義に使えたら最高なんだろうなって思う。
そういうことが出来るのは病状とかにもよるとは思うが、本人の意思を尊重していきたいなって感じる。
汚い話し、延命治療をしないことで、医療費削減に貢献も出来る。そういう事を考えて延命治療をするしないは決めないと思うが…
さいごに
病院で勤務していると、たくさん思うことはある。
親や大切な人が元気なうちに、将来的な話しも含めたくさん話していきたいと、この本を読んで再確認できたのは良かった。
人間もいつどうなるか分からないし、毎日を楽しく生きていきたいものです。
医者の立場から見たことが、たくさん書いてあるので、医師がどういうものかということも分かった。
読んだあと、ちょっとだけど見る目が変わったのは確かです。
気になった方はぜひ手にとってみてください。